エアガクらぼ

【4コマ漫画】怖い先生の怒りをおさえるために感情制御方略を試みたら・・・

大学生の日常をちょっとした漫画にしつつ、ちょいちょい大事なことを伝えられればと思います。ちなみに漫画はコミPo!で作成しました。

スポンサーリンク

【4コマ漫画】これで怒りはおさまるはず・・・

スポンサーリンク

この記事の内容

この記事では「怒り」という感情について考えていきます。自分自身でも他者でも「怒り」が起こると、やっかいな状況になりますよね。そんな「怒り」について理解を深め、怒り感情が起きたときの対処法を考えてみます。

そもそも「怒り」とは?

「怒り」といえば、嫌な気持になったりキレたりすることだろう・・・っていう感じですよね。

ただ、何かしら定義があるのか、「怒り」に対して何らかの理論があったりするのかを確認しておきます。

「怒り」とは

VandenBos (2015) という研究者が「怒り」について定義しているようですが、大島・下津・伊藤 (2020)がそれを次のように説明しています。

「怒り」とは、欲求不満や想像上で、あるいは実際に他者から傷つけられた経験、不当な仕打ちをうけたことなどから喚起される、緊張と敵意を特徴とする情動であり、ネガティブなものとみなされている。

何らかのきっかけによって、引き起こされるネガティブな感情という感じです。

怒りが大きくなると、他者に対して攻撃的になったりすることがあるため、人との関係に悪影響を及ぼしたりします。

さらには、「怒り反芻(はんすう)」という言葉があります。これは、怒りの原因に注目したり、その出来事などを繰り返し想起してしまって、怒りを増大・持続させてしまうことです。そのため、怒り反芻に対する対処も研究されているようです。

したがって、社会的にネガティブな事態を起こしうる「怒り」や「怒り反芻」をコントロールすることが重要となります。

「怒り」が起こること自体が問題ではない

「怒り」は何らかのきっかけによって引き起こされるものですが、「怒り」が起こること自体に問題があるわけではありません。むしろ「怒り」にはメリットもあるぐらいです。

例えば、下田・寺坂・石津・大月友 (2019)は、「怒り」がもつ機能として、①自他へのメッセージ的機能、②不正などに対処し秩序を維持する機能などをとりあげています。

さらには、「怒り」は何かを成し遂げるための原動力にもなります。例えば、「数学の問題が解けない」ということへの「怒り」によって、普段以上のエネルギーでその問題について考えこんだり、調べまくったりして、解けるようにする、ということがあります。

このように、怒り感情が生じることそのものが問題ではなく、引き起こされた「怒り」をうまくコントロールできず、人間関係を壊してしまうような行動をとってしまうなどが問題となります。

つまり、「怒り」をコントロール(制御)することが重要であるといえます。

「怒り」に対する考え方

「怒り」がどのようにとらえられているのかをググってみると、いくつかの考え方がでてきます。

ちなみに、ここでの「ググる」というのは、通常のGoogle検索をしたものですので、情報源はブログなどです。信憑性という点でどうなのか、という問題もあるかもしれませんが、だいたい共通して言われている内容なので、別に良いかなと思って取り上げます。

「怒り」に対する代表的な考え方として、「『怒り』は二次感情」という考え方や、「プルチックの感情の輪」における「怒り」の考え方があります。

「怒り」は二次感情?

「怒り」は二次感情だ、という話があります。この背景となる理論があるのかないのか、たぶんあるんでしょうけど、特に紹介されている記事がみあたらなかったのでよくわかりませんでした。

簡単に考え方を言います。

何か「怒り」のきっかけとなるような事象が起こったときに、いきなりから「怒り」が発生するわけではありません。最初に、「悲しみ」「虚しさ」「不安」「心配」など別の感情が働き、その感情が増大するなどしたときに「怒り」が発生するという感じです。

このとききっかけとなる事象から直接引き起こされる感情が一次感情であり、一次感情が高まって生じる「怒り」が二次感情ということのようです。

「怒り」をコントロールするために、「怒り」の背景にある一次感情が何であるかに注意を向けるなどすると良いということです。

あくまでブログ等から調べた内容なので正しく解釈できているかはわかりません。私が理解した感じだとこのような解釈になります。

プルチックの感情の輪

上記の考え方とは異なるものとして、プルチックの感情の輪があります。

プルチックの感情の輪では、8つの基本感情(怒り、恐れ、期待、驚き、喜び、悲しみ、信頼、嫌悪)とその基本感情の組み合わせで生まれる混合感情があります。

「プルチックの感情の輪」で画像検索をすると、花びらのような図にたくさんの感情を位置づけたイラストがみつかります。興味がある人はみてみると良いでしょう。

混合感情に関する論文はいろいろあるようですが、まだ調べてはいません。暇があったら調べます。

プルチックの感情の輪でも、一次感情とか二次感情という言葉があるらしく、8つの基本感情を一次感情、混合感情を二次感情というようです。

「怒り」は基本感情なので、一次感情ということになりますね。

「怒り」の解釈は理論によっていろいろ

上述した2つの考え方では、一方は、「怒り」を二次感情というし、もう一方は「怒り」を一次感情と位置付けているし、よくわかりません。

そもそも理論が異なるので、一緒に考えちゃいけないわけですが、大学生が卒論でこれらの情報を調べたら、情報がごちゃごちゃして卒論の内容がわけのわからないものになりそうです。ネット上の情報に振り回されてはいけないという良い例です。

「怒り」を含めて、感情について体系的にみていかないといけませんね。少なくとも、「怒り」に対する解釈は1つではない、ということだけ知っておくべきでしょう。

余談ですが、「怒り」を含めて感情というのは、我々が何に注意を向けているかを自覚するツールであるという考え方もあるようです。

例えば、「怒り」だったら「大切なものがおびやかされること」に注意が向いているということです。

この考え方自体は、理論的にどうなのか、みたいな部分はわかりませんが、自分の感情をうまく活用するという点では役立つ考え方だなと思います。

詳しくは、以下の書籍p156~175に示されていますので、感情の活用の方法について知りたい人はみてみると良いでしょう。

怒り感情をコントロール(制御)する

最初に話したように、「怒り」が発生すること自体は問題ではありません。それをうまくコントロールすることが大事なわけです。

「怒り」をコントロールするためのやり方にはいくつかのパターンがあるので、論文をいくつか眺めて紹介してみます。

ちなみに、コントロールは日本語では「制御」といいます。また、何かの目的のために行う一連の行動というのか方法というのかのことを「方略」といったりします。「方略」は多くの人にとってあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、論文などではよく使われる言葉です。

これ以降、怒り感情に対する「制御方略」という言葉を当たり前に使っていきますが、感情をコントロールするための方法みたいな感じでとらえれば良いです。

で、まあ、「怒り感情制御方略」だけでなく、「怒り」を含めた感情全体に対する「感情制御方略」も眺めてみましょう。

感情制御方略

「怒り」を含め、人はいろいろ感情を表出します。感情をコントロールするための感情制御方略についていろいろ研究が行われています。

感情制御方略については、則武・小林・李・小田 (2021)でいろいろ紹介されていましたので、簡単にみてみます。感情制御方略には、良い方略とあまり良くない方略があります。良い方略のことを「適応的感情制御方略」、良くない方略のことを「不適応的感情制御方略」といいます。それぞれ次のようなものがあります。

適応的感情制御方略

用語が難しいですが、内容をみてみれば、何となくこういうことかなというのがわかる気がします。ここで制御しようとしている感情は、「怒り」「不安」「心配」などネガティブな感情だとは思います。「嬉しい」「楽しい」みたいなポジティブな感情に対して制御する必要はないと思いますので。

ちなみに、4コマ漫画で、学生が教員の怒りをおさえようとして試みたのが、「認知的再評価 (肯定的再評価)」ということになります。ただ、4コマ漫画にして客観的にみてみると、ただの言い訳にしかならないなと感じました。

不適応的感情制御方略

こっちは用語も内容もわかりやすいかなと思います。「他者非難」や「破局的思考」とかする人っていますよね。ホントやっかいです。

怒り感情制御方略

感情制御方略についてみてみましたが、ここからは「怒り」感情に焦点を絞ってみます。

よーくよく考えると、たぶん感情制御方略でとりあげたいくつかの方略と重なる部分があると思いますが、よーくよく考える脳みそがないので、怒り感情は怒り感情で別途とりあげていきます。

怒り感情制御方略については、論文によってやや異なるパターンがあるようです。冨岡・平井 (2017)がいろいろ説明してくれているので、そこで出てきた怒り感情制御方略をとりあげます。

なお、吉田 (2009)は、「怒り」の感情から「驚き」の感情に焦点化させることで、怒りをコントロールすることを試みておりました。結果的には、思ったような結果が得られなかったようですが、試みとしては面白い研究だなと思っています。

まとめ

怒り感情について考えてみました。

怒りは様々な問題を起こしうるものですが、適応的な怒りもあります。怒りが起こること自体が問題なのではなく、それをどうコントロールするかが大事といえます。

また、怒りについては様々な解釈があり、それによって対処法も異なってくるだろうとは思います。

しかし、怒りに対する対処方略(怒り感情制御方略)についての研究も行われています。それらの方略について、何かネタができたら、詳しく取り上げたいです。

参考文献

モバイルバージョンを終了