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【2コマ漫画】配布資料も板書もない口頭説明だけの授業をするのはどうしてですか? 何とかなりませんか?

大学生の日常をちょっとした漫画にしつつ、ちょいちょい大事なことを伝えられればと思います。ちなみに漫画はコミPo!で作成しました。

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参考にならない授業方法

大学生の日常をちょっとした漫画にしつつ、ちょいちょい大事なことを伝えられればと思います。ちなみに漫画はコミPo!で作成しました。

コミPo!を使って、イラストや数コマ漫画をTwitterpixivに投稿しています。「20,000字なんて書けません!」(卒論漫画)、「桃から出れない桃太郎」(おとぎ話)とかイジメ関係の漫画を投稿しています。以下に、Twitterの内容を埋め込んでおくので、よろしければフォローお願いいたします。

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この記事の内容

テキスト・配布資料がなく、板書もしてくれない、口頭説明のみの授業が大学ではあったりします。そのような授業方法の先生はどのような意図があるのでしょうか? この記事では以下のことを述べていきます。

  • 口頭説明をメモできるスキルは必要だが授業ではもっと大切なことがある。
  • 授業内容を視覚的に示すことは重要である。
  • 口頭説明のみの授業の場合に、学生さんはどうしたら良いか。

口頭説明のみの授業の問題点

実際に、テキストなし・資料配布なし・板書なしで口頭説明のみで授業をする先生がいます。その理由を私が知っている範囲でお伝えすると、就職したら口頭説明のみで指示されるからその状況に大学生のうちから慣れていかないといけないというのが主なようです。そのほか、ノートのとり方が高校までに身につけてきているだろうからというものもあります。

それ自体はなるほどとも思うのですが、いかがなものかと思うこともあるし、時代にそぐわないという気もします。その理由をここでは3つとりあげます。

授業内容の聴きとりと仕事内容の聴きとりは異なる

就職したら、仕事では口頭説明で指示されることが多いわけですが、その指示内容は、基本的には5W1Hを聞き取れれば済むような内容だと思います。

授業で扱うような専門性の高いもの(例、専門用語の理解、専門分野に関わる理念や理論、それを支える背景など)を理解するのとは、まったく異なります。

仕事でもっと難易度の高い内容を理解する必要がある場合だったら、通常は、何らかの資料をもって説明しますし、個別に説明を受けるのであれば、質問する機会も十分にいただけると思います(そうでない場合もあると思いますが・・・)。

いずれにしても授業内容を聴くのとは全く異なるわけです。そのような意味で、授業中に聴きとり方やメモのとり方を訓練する必要はないと思うわけです。

というよりも、授業内容の聴きとりが難しくても、仕事内容を聴きとれる人が多いのではないかと思います。普通にアルバイトができる人であれば、就職してからも、仕事内容の聴きとりができないわけがないと思うんですね。

口頭説明のみにすることは学生を排除することになりかねない

先生によっては、学生はノートのとり方を高校までに身につけているはずだという前提で授業をしている場合があります。

でも、高校までは、テキストや板書があったうえでノートをとっているのではないかと思います。それが突然、大学の授業において、テキストなし配布資料なし板書なしの状態で、高校までのノートティキングスキルで駆使して授業内容を理解するというのは、難易度が高くないでしょうか?

また、ノートのとり方を十分に身につけていない学生もいるわけであって、そのような学生に対して授業を受ける資格がない、逆に言えばそのような学生を排除するということになりかねないわけです。学生には学ぶ権利があるわけで、学ぶことを放棄していない限りはできるだけ配慮することも必要なわけです。

今の時代、障害のある学生に対して合理的配慮(障害のある方から何らかの助けを求めが場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、必要な便宜を図ること)をすることであったり、すべての学生のために授業のユニバーサルデザイン化(後述します)をすることが求められるようになってきています。

そのような流れの中で、学ぼうとする学生を排除するような授業のやり方は、時代にそぐわないと言わざるを得ません。

口頭説明のみの授業では、授業の到達目標を達成できない可能性がある

授業には、達成すべき「到達目標」というものがあります。到達目標は、授業のシラバスに「〇〇を理解している」「〇〇ができる」というように示されており、その授業に関して学生が身につけるべき知識・技能ということになります。

逆に言えば、教員は、学生がそのような知識・技能を身につけられるように授業をしなければならないわけです。

問題なのは、口頭説明のみで授業をしてしまうと、これらの知識・技能を身につけにくくなるということです。視覚的に情報を示して説明してくれれば何でもないような内容であっても、口頭説明にすることで何のことやらわからないということになってしまいます。

つまり、授業で身につける内容として、「口頭説明からノートを適切にとる」スキルを加えてしまうと、本来の目標である「到達目標」の達成を妨害することになるわけです。はっきり言って本末転倒です。

1つの指導内容のなかに、相反する複数の目標を入れ込むと、どちらの目標も達成できなくなる可能性があります。ちょうど、2コマ漫画のとおりです。先生の意図としては、「授業の到達目標の達成」と「口頭説明からノートを適切にとるスキルの獲得」が目標ということになりますが、いずれも身につかない状態になっています。

ちなみに、こういった学生のなかには、授業内容を視覚的に示すことで、集中して取り組めるようになる方がけっこういたりします。やり方次第で学生の取り組みは変わるということです。

授業内容を視覚的に示すということ

上記の説明のなかで、授業内容を視覚的に示すことについて何度か触れました。ようするにテキストや資料などを配布したり、板書したりして、しかもポイントとなる内容をわかりやすく示すことになります。口頭説明だけよりもはるかに理解しやすいわけです。

これに関連して「授業のユニバーサルデザイン」という言葉があります。授業内容を「視覚化」「焦点化」「共有化」することで、多くの学生が参加しやすい授業にするということです。授業のユニバーサルデザインについては、【2コマ漫画】大学の勉強はなぜ難しいか?でも説明しています。また、書籍としては以下が参考になります。

これらの書籍は、小学校における授業のユニバーサルデザインについての話となっていますが、考え方は中学校、高等学校、大学などでも同じです。

簡単に考え方を伝えると、授業の教室には、様々なタイプの学生さんがいます。見て理解するのが得意な学生さん、聞いて理解するのが得意な学生さん、聞いて理解できないわけではないがゆっくり話してもらう必要がある学生さん、ノートをとろうにも手先が不器用な学生さん、自分で読むのは苦手だが人が読んだ内容を理解するのは得意な学生さんなどいるかもしれません。そうした人たちの中には、発達障害の症状を持ち合わせている方もいるかもしれません。

授業のユニバーサルデザインでは、そうした様々なタイプの学生さんがいることを前提とし、授業内容を「視覚化」「焦点化」「共有化」することでどの学生であっても、学ぶ意欲があれば授業に参加できるように取り組んでいきます。これはどの学生も排除しないようにするための取り組みといえます。なお、「視覚化」「焦点化」「共有化」の詳細については、上で紹介した書籍がもっとも参考になります。

ちなみに、授業に限らず、日常生活における様々な場面で「ユニバーサルデザイン化」が求められています。

詳細は省きますが「そもそもユニバーサルデザインって何?」というかなり基礎的な学習が必要な人向けとなっています。

ユニバーサルデザインの考え方は、社会全体で求められているものです。一部のデキる人以外を排除してしまうような体制は見直していかなければならないものといえます。

口頭説明のみの授業で学生さんにできること

そうは言っても、口頭説明のみの先生が授業方法を簡単に変えてくれるわけではありません。大学では、授業の内容ややり方、評価のしかたなどは、それを担当している先生に責任があり、基本的には他の先生は口出しできません(アカハラなどがある場合は別ですが・・・)。

では、口頭説明のみの授業において、学生さんはどのように対処したら良いでしょうか。次のようなことが考えられます。

大変なことのように思われるかもしれませんが、これらのことを少しでもやっておけば授業内容の理解は格段に良くなります。予習の効果については【4コマ漫画】ノートをとっている間に先生の話が進んでしまいます! 一体どうしたら良いですか?も参考にしてみましょう。また、こういったやり方を身につけておけば、働いてからも活躍できることは間違いないでしょう。

まとめ

たしかに、口頭説明をメモできるスキルは必要かもしれません。しかし、大学の授業では到達目標を達成するというもっと重要な目標があります。それを妨害するような授業のやり方は見直しが必要でしょう。特に、授業内容を視覚的に示すことは重要といえます。

一方で、学生さんの立場からだと、授業のやり方をコントロールするのは困難です。口頭説明のみの授業を有意義なものとするためには、シラバス等を利用して「予習」することが重要です。

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