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【漫画付き】卒論の進め方は?「わからないから進められない」に対処するステップごとのポイント

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記事の要約

  • この記事では、卒業論文(卒論)の進め方について解説しています。
  • 卒論に真面目に取り組むことは、専門分野について深めるだけでなく、生涯役立つ賞味期限のないスキルの獲得につながります。
  • 卒論は、大きく分けると「テーマから問いへ」「研究の実施」「卒論の執筆」というステップで進めていきます。

はじめに

卒業論文(卒論)は、多くの大学生にとって、大学生活の最終章を飾る一大プロジェクトとなります。しかし、「何から始めればいいの?」「何を書けばいいの?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか? この記事では、卒論の進め方について具体的なステップとポイントを詳しく解説します。卒論に手をつける前の学生にとって、まさに宝の地図となりうるのではないかと、勝手に思っています。なぜなら、「テーマを決めろ」とか「疑問を持て」とか教員から言われると思いますが、それらの満たすべき条件を明確にしているからです。

そもそも卒論って何をするもの?

卒業論文とは何でしょうか? 大学を卒業するために作成する論文です。正確には、卒業論文などの卒業必修となっている科目があって、その単位を修得するために作成する論文ということです。卒業論文は「卒論」と略す場合も多いですね。

では、卒論は、何をするものでしょうか? 世の中の多くの人に影響を与える何らかの物事に対し、問題提起をして、研究によって問題解決を図り、その過程を報告書としてまとめるものです。・・・というふうに言うと、とっても難しく感じますね。そりゃ、一朝一夕で作成しようと思ったら難しいです。長期間かけて計画的に取り組んでいくものですから。指導教員等と相談しながら、ステップバイステップで作成していけば、ちゃんと完成させられるものです。

卒論って、何のためにやるの?

なぜ、卒論に取り組むのでしょうか? 1つは、卒論をとおして所属する学部学科に関わる特定の問題について深めることができる、ということがあげられます。教育系であれば、教育にかかわる特定の問題、心理系であれば、心理にかかわる特定の問題について、広く深く学習することになります。

でも、それだけではありません。そもそも指導教員によっては、卒論のテーマを自由にしてよいという場合があります。そうすると、卒論の内容が、所属する学部学科とはまったく関係のない内容になることもありますね。

しかし、その場合であっても、卒論に本気で取り組んだ場合、生涯役立つスキル、賞味期限のないスキルを獲得することができます。世の中の多くのスキルが、4~5年前後であまり使えなくなってくるとされています。なぜなら、技術の発展によって、難易度の高かったスキルが誰でもスキルに置き換わることがあるし、新しいスキルができることによって、それまで重要視されていたスキルがそれほど重要でなくなったりするからです。

その一方で、いつどの時代であっても必要とされるスキルがあります。当ブログでは、賞味期限のないスキルと呼んでいます。卒論は、賞味期限のないスキルを獲得するのに、絶好の機会となります。その詳細については、以下のリンクをご覧ください。

どのようなステップで、卒論に取り組んでいくの?

卒論は、おおよそ以下に示すようなステップで作成します。最初に、取り組んでいきたいテーマから、問いを見つけ出していきます。その問いについて研究するために、何らかの研究方法を選択し、研究の実施、分析を行います。そして、それらの過程を卒業論文としてまとめます。

テーマから問いへ

卒論で取り組んでいきたいことをテーマとして設定し、そのテーマについてリサーチし、問いを立てていきます。実は、この段階がとても重要だし、なかなか進まない部分ともいえます。卒論で悩んでしまう学生さんのなかには、そもそも卒論に対する考え方を切り替える必要がある方も多いです。卒論とは、興味のあるテーマについてまとめるものではありません。興味のあるテーマに関する問いを立て、その問いについて研究していくものです。問いを立てないと、卒論は始まらないんです。だからこそ、とても重要な段階、ある意味では最も重要な段階ともいえます。1つ1つみていきましょう。

テーマを決める

卒論のテーマ決めは、卒論に取り組む一番最初のステップです。卒論は、興味関心があることに取り組んでいくものです。自分自身が、どのようなことに興味関心があるのかを明確にして、テーマを決めていきます。

なお、多くの大学生は、興味のある事柄について非常にざっくりとした知識しか持ち合わせていません。テーマを決めるためには、その事柄について下調べをする必要があります。例えば、一般的にどんなことが知られているのか、現状の問題は何か、どんな用語が用いられているかなど。下調べによって、基本的な知識をつけてから、卒論のテーマを決めていきます

しかし、卒論のテーマは、何でもよいわけではありません。所属する学部学科に適しており、興味関心がある、というだけでなく、研究し卒論として完成させられるようなテーマにする必要があります。では、どのようなテーマであれば、卒論を完成させられるでしょうか。簡単に言うと、以下に示す条件を満たしたテーマとなります。

よい卒論テーマの条件
  • 疑問心を刺激するテーマ
  • 身近な事例があるテーマ
  • 共感を呼ぶテーマ
  • 倫理的なテーマ
  • 情報収集しやすいテーマ
  • 学部学科等の要件に合致したテーマ

これらの条件の詳細は、以下の記事に示しています。

テーマについてリサーチする

卒論テーマに関してリサーチをするのは、問いを立てるために必要な情報を集める必要があるからです。問いについては後述しますが、的確な問いを立てるためには、十分なリサーチが不可欠です。

リサーチするといっても、闇雲に情報を集めてよいわけではありません。集めるべき情報もあれば不適切な情報もあります。効率のよいリサーチをするためにも、以下の条件を満たせるように、情報収集していくことが大切です。

卒論テーマのリサーチの条件
  • テーマに関する信頼できる情報を体系的に収集できている
  • 情報源間の関連性を理解し、全体像を把握できている
  • 情報に偏りがなく、多角的な視点を得られている
  • 最新の情報を含んでいる
  • すべての情報の出典が明確で、信頼できる情報源から得られている
  • 情報の書誌情報を記録し、いつでも参照できるようにしている
  • 孫引きではなく、オリジナルの情報を活用している
  • 自身の関心と問題意識が反映されている

これらの条件の詳細は、以下の記事に示しています。

問いを立てる

卒論において、問いを立てるというのは、最も重要なスタート地点ともいえるステップです。適切な問いができるかどうかで、卒論として成り立つかどうかが変わってきます。

問いとは、卒論テーマに関わる何らかの疑問です。しかし、どのような疑問でもよいわけではありません。研究する意味のある問いが必要です。卒論としてまとめられるような問いを立てるためには、以下の条件を満たすことが大切です。

卒論を進めていくための問いの条件
  • 新規性がある問いである
  • 先行研究と関連性がある問いになっている
  • 「なぜ?」「どうすれば?」「するべき?」といった疑問形式になっている
  • 研究可能な問いになっている
  • 研究のテーマ、自身の関心に沿った問いになっている
  • 問いの答えが、自分以外の人にとっても有益な情報になる

これらの条件の詳細は、以下の記事に示しています。

研究の実施

実際に研究を実施していく段階です。研究テーマに関する問いが定まったら、その問いに対する回答を、資料やデータを証拠としてみつけていくことになります。

どのような資料やデータにしていくのか、それをどのように集めていくのかは、所属する学部学科によって異なります。当たり前ですが、数学系で数式やコンピュータを扱うことがほとんどなのに、児童を対象とした心理検査を行うような研究はけっこう難しいです。文学系なのに医療機器を使おうとする研究も難しいです。よっぽどの環境が整っていなければ、現実的にできない場合もあります。

研究方法を決める3つのポイントとして以下があります。

明らかにしたい問題は何か

明らかにしたい問題が何かによって、研究方法は変わってきます。そのため、「テーマから問いへ」の部分で立てた「問い」が重要となります。適切な問いになっているのであれば、その問いの回答を得るために、どのような資料あるいはデータを集めればいいのかが明確となります。

仮説検証をおこなうのか、仮説論証をおこなうのか

研究では、問いに対して何らかの証拠をもとに回答をしていきます。その証拠を集めるための研究方法は、問いから導かれた仮説に対して、仮説検証をおこなうのか、それとも仮説論証をおこなうのかで変わってきます。仮説検証では、データを集めて仮説が正しいかどうかを検証します。仮説論証では、資料を集めて仮説が正しいことを論じていきます。

現実的に可能なのか

所属する学部学科、研究室によって、可能な研究と不可能な研究があります。データをとりたくても、使用できない機器があるかもしれないし、扱うことが困難な対象がいるかもしれません。何よりも、対象者に心理的苦痛や身体的危害を与えてしまう可能性のある研究は、倫理的に問題があるため絶対に実施してはいけません。

なお、研究方法を決めるためのこれら3つのポイントについての詳細やその例については、以下の記事をご覧ください。

卒論の執筆

研究テーマについて問いを立て、客観的な資料やデータをもとに一定の回答を得ることができたら、卒論の執筆を行います。後はどんどん書いていくだけですが、いくつかの注意点があります。卒論ではそもそも何を書くのか? どのような文章で書くのか? 参考文献をどう書いたらよいのか? といったことです。実際に卒論を書く段階になると悩みますね。1つ1つをみていきましょう。

卒論では何を書くのか

卒論には、何を書くとよいのでしょうか? 卒論とは、卒論テーマに対して定めた問いを、証拠に基づいて論理的に説明し、回答する形で作成する報告書です。そのためには、どのような内容を説明しなければならないか、それらの内容をどのように構成するのかをおさえることが大切です。卒論に含めるべき内容は以下のとおりです。

卒論に含める内容
  • 社会的背景を明確に説明しており、研究の意義が理解できる
  • 重要な用語を適切に定義している
  • 信頼できる資料に基づいて体系的に説明している
  • 資料を批判的に検討し、課題や問いを立てている
  • 問いに基づいて研究の目的を明示している
  • 客観的なデータや資料によって仮説や主張について検証している
  • 研究の目的に対する結論が明確に述べられている
  • 研究の成果、限界、今後の課題を説明している

これらの内容の詳細は、以下の記事に示しています。

卒論ではどんな文章を書くのか

卒論で書く文章には、ある程度のルールがあります。そうしないと、伝えるべき内容を誤解なく的確に伝えることが困難となるからです。作家さんのようなハートにうったえかけるような素晴らしい文章ではないんです。伝えるべきことを確実に伝えることがポイントです。そのためには、以下に示すような文章で書いていくことが大切です。

卒論で書くべき文章
  • 事実と意見を明確に区別している
  • 各パラグラフには1つのトピック(話題)のみが含まれる
  • 各パラグラフの冒頭に言いたいことが示されている
  • 接続詞を適切に使用している
  • パラグラフ内の各文章は、主語と述語の関係を明確にしている
  • 文体を「である」体で統一している
  • 文語体で書いており、口語表現を含めないようにしている
  • あいまいな表現を可能な限り数値などで具体的に表現している

これらの内容の詳細は、以下の記事に示しています。

文献の書き方

引用や参考文献リストは、なぜ書かないといけないのでしょうか? これを書かないと、剽窃という他者の文章やデータを盗むという行為になるからです。適切なルールを身につけることが大切です。引用や参考文献リストを書くときには、けっこう細かいルールがあります。そして、それは学部学科や指導教員によって異なります(もっと言えば、どの学会に基づくのかで異なります)。少なくとも以下に示す共通ルールを把握しておきましょう。

引用や参考文献リストの共通ルール
  • 引用は必要最小限にし、長すぎる引用は避けている
  • 直接引用は「」で囲み、句読点を含めて正確に記述している
  • 間接引用は著者の主張を的確に要約している
  • 引用には、著者名と発行年を明示している
  • 参考文献リストは資料タイプに合わせて必要情報を不足なく正確に記載している
  • 引用と参考文献リストの対応が正しい
  • 引用と参考文献リストの書式が統一されている
  • 引用と参考文献の情報が正確で信頼できる。また存在している

これらの内容の詳細は、以下の記事に示しています。

おわりに

本記事では、大学生活の大きな一歩とも言える卒業論文についての進め方を詳細に解説しました。テーマの選び方、問いの立て方、研究方法の選択、そして卒論の執筆といった一連のステップを通じて、自身の興味を深め、生涯役立つスキルを獲得するチャンスとなる卒論は、一朝一夕で完成させるものではありません。しかし、一つ一つのステップを確実に踏んでいけば、必ずや成果を上げることができます。この記事を読んだ方が、卒論に対して意欲的に取り組むための一助となれば幸いです。

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