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【4コマ漫画】確証バイアスなんて考え方があるんですね。じゃあ、血液型と性格って関係ないんですか?

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【4コマ漫画】血液型占いって当たるのかなぁ・・・?

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この記事の内容

この記事では、確証バイアスという思考の誤りを招く現象について説明します。

確証バイアスは、情報に対して偏った見方をしてしまうというデメリットがありますが、確証バイアスがあることを意識すれば、それをコントロールするだけでなく、活用できる可能性もあります。

そのため、確証バイアスを紹介するとともに、確証バイアスを使い倒す方法について考えてみます。

思考を偏らせる確証バイアス

確証バイアスとは?

確証バイアスとは、人が現在持っている信念、理論、仮説を支持し、確証する情報を求め、反証となる証拠の収集を避ける傾向です(菊池, 2018)。なお、反証とは、その支持しようとしている信念・理論・仮説は間違っていると証拠によって示すことです。

確証バイアスの例として、よくとりあげられるのが、血液型と性格の関係です。例えば、A型は几帳面、B型はマイペース、O型はおおらか、AB型は天才とか、それぞれの血液型でいろいろ特徴はあるようですが、とにかく4種類の血液型で性格に違いがある、という考えです。

例えば、「A型は几帳面とか計画性がある」かどうかを確かめるために、A型で几帳面な人やA型で計画性がある人の事例ばかりを集めて、A型以外の人はどうなのか、A型で几帳面でない人やA型で計画性がない人がどのくらいいるのかという事例については無視してしまう。このように、自分の思い込みに適した情報しか見ようとしないことを確証バイアスと言います。

4コマ漫画にもあるとおり、「A型は几帳面とか計画性がある」というためには、「A型以外の人(B型、O型、AB型)は几帳面ではないとか計画性がない」という事例が必要になります。この点については、この記事の2×2分割表のところで説明します。

なお、血液型と性格の関係については科学的根拠はない、というか大規模調査が過去に何度か行われていて、ことごとく否定されているようです。それについては、このサイトで詳しく紹介されているので、リンクを貼っておきます。

確証バイアスに関する心理実験には、ウェイソン選択課題(Wason, 1968)や2-4-6課題(Wason, 1960)などがあります。ググればそれらの課題についての説明はありますので、ここでは紹介しません。

ちなみに、ウェイソン選択課題についてはこのサイトを、2-4-6課題についてはこのサイトをリンクとして貼っておきます。

確証バイアスのように、人の思考に歪めてしまうような現象は他にもあって、それらをまとめて認知バイアスと言います。機会があったら、それらの記事も書ければ良いかなと思います。

確証バイアスによって起こる問題

確証バイアスは、自身の思い込みによって、集める情報に偏りを生じさせてしまうため、誤った推測を導いてしまいます。例えば次のような推測をすることがあります。

  • 研究において、自身の仮説に適したデータや結果のみを選び、好ましくないデータを無視してしまう
  • 医師から提示された治療方法に不安を感じ、その治療方法のデメリット情報ばかりを調べて、その治療はやめた方が良いと判断してしまう
  • クリックするだけで30万円稼げます的なサイトで紹介されている成功事例のみをみて、そのサイトを否定する情報を無視して判断してしまう
  • ある事件の犯罪者が精神障害と診断されていたという情報をみて、精神障害があると犯罪を犯すと思い込む(実際には、精神障害がなくても犯罪をする人はする)

確証バイアスによる勝手な思い込みで、自分自身に災難があるだけでなく、他者を苦しめてしまうこともあります。自分自身が思い込みをしていないかということを意識しながら、情報をみていくことが大切です。

確証バイアスを使い倒す方法

確証バイアスによって、思考が偏り、誤った推測になってしまう可能性があります。しかも、至るところに確証バイアスは存在するため、確証バイアスの存在自体を意識しないと、いつの間にか確証バイアスの魔の手に思考が偏らされてしまいます。

その一方で、確証バイアスの存在をしっかり意識すれば、というか何事にも確証バイアスが働いているぐらいの意識を持っていると、逆に確証バイアスをコントロールし、活用することができる可能性があります。

確証バイアスを意識するために「2×2分割表」で考えることと、確証バイアスの活用場面についてとりあげます。

確証バイアスを2×2分割表で考える

確証バイアスがあると、自分の信念・理論・仮説に都合の良い情報ばかりを集めてしまいます。したがって、その信念・理論・仮説に対する反証に意識的に目を向けることが大切です。

反証には何があるでしょうか。それは、2×2分割表に基づいて考えると良いです。

例えば、4コマ漫画の例で「A型は計画性がある」という考えについてみてみましょう。仮に、確証バイアスによって、この考えに合うような事例ばかりを集めてしまい、次のようになったとします。

血液型計画性がある計画性がない
A型205

ここで、表内の数値はそのカテゴリーにあてはまる人の人数だとします。A型で計画性がある人が20名、A型で計画性がない人が5名ということになります(あくまで仮のデータです)。

この表を見ると、A型は、計画性がない人に比べ、計画性がある人が4倍いることになり、「A型は計画性がある」と解釈したくなるかもしれません。

しかし、この表について、A型以外の人のデータをとると、次のようになってしまったとします。

血液型計画性がある計画性がない
A型205
A型以外
(B型、O型、AB型)
4010

A型以外(B型、O型、AB型)の人も、計画性がある人が、計画性がない人に比べ4倍となっています。A型に関するデータは先ほどと同じですが、この表の場合は、「A型は計画性がある」とはとても言えないことになります。もしかすると、計画性がある人が多いのは、このデータの対象者がすべて仕事がバリバリできる人ばかりだったのかもしれません。そうすると、A型かどうかではなく、別の要因によって、計画性がある・計画性がないというのが決まることになります。

なお、上記のような表を2×2分割表といいます。この分割表では、以下のように対角線上にデータ数が多いと、「血液型」と「計画性がある・ない」の間に何らかの関係があるかもしれない、ということができます。

血液型計画性がある計画性がない
A型205
A型以外
(B型、O型、AB型)
1040

逆に、「A型・計画性がない」と「A型以外・計画性がある」の2つのセルのデータ数が多い場合も、 「血液型」と「計画性がある・ない」の間に何らかの関係があるかもしれない、ということができます。

実際に、「血液型」と「計画性がある・ない」の間に関係があるというためには、それぞれのセルでどのくらいのデータ数があれば良いでしょうか。これについては、この分割表についてカイ二乗検定やフィッシャーの正確確率検定という統計的手法を用いることで明確になります。

なお、このような分割表をクロス集計表ともいいます。2×2だけでなく、2×3などより大きな表に対しても作成できます。

注意!

「クロス集計表」と同じように扱われる言葉として「分割表」があります。集計したときに度数であれば「分割表」、集計して合計や平均値などを算出した場合を「クロス集計表」という話もあります。が、多くのサイト・書籍で両者を区別しないで説明しています。そして、総務省統計局でも、区別せずにクロス集計表といっているようなので、このサイトでも、とりあえずクロス集計表として統一します。どう扱うのが一番適切なのかはちょっとわかりません。

確証バイアスがかかる可能性がある場合、この2×2分割表を意識して、各セルのデータ(事例)がどのくらいあるかを確認すると良いでしょう。

とはいえ、確証バイアスを確認するごとに、 カイ二乗検定やフィッシャーの正確確率検定などの統計的手法を適用するのは大変です。

卒論などの研究場面では良いでしょうが、普段の生活において生じる確証バイアスまで、そのような統計的手法を適用するのは難しいです。

したがって、日常場面では、「A型・計画性がない」や「A型以外・計画性がある」などについて、感覚的に多そうだな・少なそうだなという判断をする程度になるでしょう。

それでも、反証を含めて、仮説について検証すれば、確証バイアスによる思考の歪みをある程度避けることができるでしょう。

確証バイアスの活用場面

せっかくだから、確証バイアスを活用する方法について探ってみました。確証バイアスは思い込みをさせるネガティブなものとしてとらえられていますが、「確証バイアス=ネガティブ」ということ自体も思い込みかもしれません。

もしかすると、確証バイアスにも良い部分、ポジティブな側面があるかもしれません。ここでは、以下の3点を考えてみました。

卒業論文(卒論)におけるアイデアづくりに利用する

学生さんが卒論について考えるとき、わりと大きめの問題をとりあげてしまい、それに対して具体的な問題を考えることが困難になる場合があります。

例えば、「動物虐待」というのを考えてみましょう。どのような人が動物虐待をするのか、という点をネットなどで調べると、「無責任な人」というのが出てきたりします。

「動物虐待をする人は無責任な人だ」という考え方になりますね。

「動物虐待」とか「無責任」という言葉はもっと具体的に定義づける必要がありますが、「動物虐待をする人は無責任な人だ」という主張から、卒論で扱う具体的な問題をとりあげようとしても、どうすれば良いかわからなくなってしまいます。

そこで、「動物虐待をする人は無責任な人だ」という主張に対して、2×2分割表を考えてみましょう。その主張が成り立つためには、次のような2×2分割表ということになります。

無責任である無責任ではない
動物虐待をする多い少ない
動物虐待をしない少ない多い

このように見た場合、「動物虐待をするー無責任である」という事例は多そうですが、他の3つのセルについては本当に成り立つのでしょうか。それぞれのセルについてよく検討する余地がありそうです。

「動物虐待をする人は無責任な人だ」という主張だけだと、その時点で思考がストップしてしまいますが、2×2分割表のそれぞれのセルについて確認していけば、その主張についてもっと深めていくことができそうです。さらに言うなら、「動物虐待」は単に責任感の有無の問題ではないかもしれません。

このように、確証バイアスがあることをよく理解したうえで、自身がもっている主張を2×2分割表でよく吟味してみると、卒論のテーマにつながるようなアイデアが生まれるかもしれません。

あえて確証バイアスにはまり込んで信念を貫く

確証バイアスは思い込みと言えますが、その思い込みも状況によっては、信念として扱うことができます。「やろう」と思ったことが失敗しても、「繰り返せば必ず成功するはず」という信念を持ち、それを貫くことが、最終的には成功につながっていくことがあります。

自分のやることに対して、確証バイアスという思い込みを利用して、自信をもって取り組むということです。このように意図的に確証バイアスを利用して、物事をやり遂げることについては、以下の本に記載されています。

この本では、良いクリエイターの条件として「観察力」を重視しており、身の回りのものをどのように観察すると良いのかが示されています。その観察の際、確証バイアスを含む様々な認知バイアスが働くことを説明しています。

一方で、物事を捉える際、認知バイアスが働いてしまうこと自体はなかなか防ぐことができません。むしろ、その認知バイアスの存在をよく理解し、活用することが大切といえます。

確証バイアスについても、うまく利用すれば、自分の信念を貫くための重要な武器になるといえます。

確証バイアスを強く意識しウソを見抜く

世の中にはいろんなところでいろんな情報を目にします。インターネット上でも、非常に多くのウェブサイトがあり、それらの情報の中には、しれっとウソや詐欺が入り込んでいたりすることもあります。

確証バイアスがあること自体を強く意識することで、そうした情報の信憑性について深く考えることができるでしょう。

その際、ウソかもしれない情報について、2×2分割表で考えれば、相手がどうやって自分を騙そうとしているのかを見抜くことができるかもしれません。

まとめ

この記事では、確証バイアスという思考の誤りを招く現象について説明しました。

確証バイアスは、情報に対して偏った見方をしてしまうものでもありますが、確証バイアスがあることをよく意識していれば、どういうところで思考の誤りが生じているのかを考えやすくなります。

また、確証バイアスを意識していれば、それを活用することも可能になるでしょう。

参考文献

菊池聡. (2018). 災害における認知バイアスをどうとらえるか-認知心理学の知見を防災減災に応用する. 日本地すべり学会誌, 55(6), 286-292.

Wason, P. C. (1960). On the failure to eliminate hypotheses in a conceptual task. Quarterly journal of experimental psychology, 12(3), 129-140.

Wason, P. C. (1968). Reasoning about a rule. Quarterly journal of experimental psychology, 20(3), 273-281.

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