大学生の日常をちょっとした漫画にしつつ、ちょいちょい大事なことを伝えられればと思います。ちなみに漫画はコミPo!で作成しました。
買わなきゃ良かった大学の教科書!
大学生の日常をちょっとした漫画にしつつ、ちょいちょい大事なことを伝えられればと思います。ちなみに漫画はコミPo!で作成しました。
この記事の内容
「授業で教科書を使うかどうか」をどうやって判断するのかについて説明します。ウェブを調べると、その判断の手がかりとして、①シラバスをみる、②先輩に聞く、③初回の授業にでるということがよくあげられています。この記事では、それに加えて、執筆者と出版社が思いを込めて作成した教科書であるかどうかが手がかりとなることを説明します。
教科書が必要な授業とそうでない授業の見分け方
指定された教科書を購入したにもかかわらず、授業では一度も使わなかった。「何でよ?」って思うようなこんな現象が多くの大学でみられます。その影響で教科書を買うべきかどうか悩んでしまう学生もいます。
こうした理由のせいなのかはわかりませんが、教科書をガッツリ使う授業においても、教科書を買わなくなってしまう学生がでてきます。そのために、授業についていけない、課題ができないということになり、単位を落としたりするわけです。
私は教員の立場ですが、「教科書を購入させたのなら授業でガッツリ使え」と言いたくなります。そんなことを言う権利はありませんが、私が学生の立場だったら腹立ちますのでね。 教科書は1冊数千円しますのでたくさん買うとなると金銭的負担が大きいわけです。学生さんが極力負担を減らしたいと考えるのも無理はないです。このことについては、【4コマ漫画】「新品同様の教科書だからフリマで良い値段で売れた! 」と喜んでいる裏で失われたものとは・・・において、教科書に対する不満や教科書の売買、売ることの注意点などをまとめています。
「教科書を買わされたのに使わなかった」という不可解な現象によって生じる金銭的負担をできるだけ減らすための情報がネット上にはみられます。その中には、教科書が必要な授業とそうでない授業の見分け方みたいな情報もあります。確かに、教科書が不要な授業があらかじめわかれば、それを買わなければ良いので、金銭的負担を減らせますね。では、教科書が必要かどうかをどのようにして見分けるでしょうか? だいたい以下のような方法がとりあげられます。
- 授業のシラバスを確認する・・・シラバスとは授業の概要・目標・計画とか成績評価のしかたなどを記載したものです。授業で使用する教科書はシラバスに記載されます。とはいえ、シラバスに教科書の記述があって購入させたにもかかわらず、実際の授業では使わないという先生もいます。
- 同じ学部の先輩に聞く・・・その先輩が授業を受けていたときから授業担当者が変わっていなければ有力な情報になるでしょう。授業担当者の授業のやり方が年によって変わることもありますが、それでも先輩の情報は信用度が高いと思います。
- 1回目の授業で判断する・・・1回目の授業をみて教科書を使うかどうかを判断するという方法です。しかし、ちょっと微妙な判断基準でもあります。というのも、最初の数回は教科書が揃っていないことも多いため、本来教科書を使う授業であっても、その数回だけは別途配布資料を用意して授業をするからです。
実際には、教科書をガッツリ使う授業かどうかの判断は難しいです。いろんな情報をもとに精度を高めるのが精一杯です。というわけで、上述した情報に加えて、以下の「教科書作成の裏事情」を考慮することで、教科書を買うべきかどうかについてより精度の高い判断ができるのではないか、という感じです。
教科書作成の裏事情からみた買うべき教科書
私自身、教科書作成には何度も携わってきています。その立場からすると、授業で使用される可能性が高い教科書とそうでない教科書は以下のように見分けられる可能性があります。100%とまでは言えません。あくまで可能性が高いというだけです。
- 授業で使用される可能性が高い教科書・・・学生にとって有益な教科書にするために、執筆者と出版社が思いを込めて作成した教科書。
- 授業で使用される可能性が低い教科書・・・上記とは反対で、執筆者や出版社の思い入れが弱く、金儲けがメインになっている教科書。
教科書は、実際にその教科書を使う授業の担当教員が執筆していることが多いです。ようするに自分たちで執筆して自分たちで教科書として使うということです。以下ではこの2つのパターンについてもう少し説明していきます。
ちなみに、授業では、授業担当者が執筆していない教科書が使われることもあります。それは単純に授業担当者が「使える」と思って指定した教科書ですので、授業でもガッツリ使用される可能性が高いです。
執筆者と出版社が思いを込めて作成した教科書
考えてみれば当たり前のことですが、執筆者の思いがこもった教科書というのは、「学生にこれを知ってほしい。いろんな教科書があるが、それでは伝えられない。だから自分たちで執筆して伝える」という考えで作成されたものです。その教科書を使うことが学生のメリットになると思っているわけです。ガッツリ授業で使いますよ。
また、執筆者だけでなく、出版社の思いも込められていると良いです。その場合、出版社は、学生のニーズにしっかり応える教科書にすることが自分たちの利益につながると考えています。大事な知識・技術をいかに確実に伝えるか、そのためにどうやって教科書を見やすくするか、といったことをよく考えているわけです。要するに、出版社が手を抜いていない教科書ということです。
執筆者と出版社の双方の思いが込められている場合、教科書の使いやすさ・内容ともに良質なものになっている可能性が高いです。それはやっぱり授業でも使われますし、その授業が終わったとしても自分で読んで学習するのに役立ちます。 では、何をもって執筆者や出版社の思いが込められていると判断すれば良いでしょうか。わかりやすい判断材料としては以下になるでしょう。
- 誤字脱字がほとんどない
- 用語が統一されている
- 学生が理解しやすいように平易な文章で書かれている
- 読んでいて飽きないようにイラストなどをつけたりしている
- 情報が新しい
- 学生が深く考えることを促す工夫、あるいは考えてみたくなるための仕掛けがある(クイズなどの問いかけや演習課題など)
- 教科書の構成に統一感がある(章節などの構成に違和感がない)
こうした教科書は、自分たちの思いを学生に伝えるために作成されていますので、授業が使われる可能性が高いです。
金儲けがメインになっている教科書
非常に言葉が悪いと思いますが、金儲けがメインの教科書というのがあります。当然ですが、教科書は多くの学生が購入すれば、それだけ儲けとなります。たくさんの学校において教科書として使用されれば出版社にとっては大儲けということになります。
そのための手段は過去いろいろあったと思われますが、現在行われている方法の1つとして、できるだけ多くの学校の執筆者に共同で書いてもらうというのがあります。例えば、「〇〇学」という教科書を作るために、15~20校から執筆者を集めて、その「〇〇学」を書いてもらいます。そして、その15~20校で教科書として使ってもらえば大儲けということになります。
出版社にとってはメリットが大きいわけですね。執筆者である教員にしてみれば、自分たちで作っておいて自分たちで購入する(お金を出すのは学生)ような感じなので何だか騙されたようですが、教員は執筆自体が業績になるというメリットがあります。
こういった仕組みによって儲けがでるわけなので、教科書の質に問題があっても良いということがあります。こういう仕組みの中にありながら質を確保している出版社もあるはずです。しかし、そうでない出版社もあります。おそらく出版社自体が教科書の中身をまったくチェックしていないような教科書があるのです。
執筆者である教員のなかにこうしたやり方を好まず、頼まれたから執筆はするけれども授業では使わないよ、という方もいます。逆に、使いたいと思わないけれども、個人的な事情か何かで、学生に購入させるという方もいます。
さて、このような形で作成された教科書というのは、できるだけ多くの大学から執筆者を集めることになります。その際の問題として、15~20人などの執筆者が互いに意見交換して共通の考えのもとで執筆することが難しいという点があげられます。したがって、教科書として授業で使おうと思った場合に、自分が執筆した部分は説明できても、他の執筆者の担当部分はよくわからないというケースがけっこうあります。その結果、説明しきれないので、別途配布資料を用意するということになり、教科書はあまり使わなくなったりします。それにも関わらず、教員は業績を増やすためこの手の執筆に参加するし、声をかけてくれた恩師などに報いるため、教科書として使うといったこともあるわけです。たぶん。
さらに、出版社の思いが込められていない教科書の場合、出版社にとって教科書は完全に金儲けの手段です。学生に適切な専門知識・技術を身につけさせることは二の次であり、とにかくそれらしいものが完成していれば良いわけです。そのような出版社にとっては、「多くの授業担当者が執筆しその学校で教科書として使う」という図式さえ成り立ってさえいれば良いわけです。それでも質の高い教科書になっていて、学生の学びになるのなら良いですが、ヒドイ場合には以下のケースがあります。
- 誤字脱字が多い
- 用語が統一されていない
- 情報が古い
- 章によって言っていることが違う
- わかりにくく読みたいと思えない
- ページ稼ぎのために図表などの資料が多くその説明がない
- 教科書全体で章節の構成に統一感がない
こんな状態のいくつかがあてはまっていたら、その出版社は単に金儲けのために教科書を作ったのだと考えてよいです。このような教科書は出版社等が見直しをしていません。学生が読むということをまったく意識してないわけです。
というかなりキツイ書き方をしましたが、私自身、このような出版社で教科書を書かされたことがあります。その頃は出版社の考えをわかっていなくていいなりでした。二度とやりません。
まとめ等
授業で教科書を使うかどうかの判断は、いくつかの情報をもとに考えていく必要があります。それらの情報には、①シラバスをみる(やや微妙)、②先輩に聞く(信憑性は高いかも)、③初回の授業にでる(これも微妙)、というのがよく言われるところです。
この記事では、それに加えて、執筆者と出版社が思いを込めて作成した教科書であるかどうかを説明しました。その観点からすると教科書を授業で使う可能性が高いのは以下と考えられます。
- 誤字脱字がほとんどない
- 用語が統一されている
- 学生が理解しやすいように平易な文章で書かれている
- 読んでいて飽きないようにイラストなどをつけたりしている
- 情報が新しい
- 学生が深く考えることを促すための工夫がある(クイズなどの問いかけや演習課題など)
- 教科書の構成に統一感がある(章節などの構成に違和感がない)
逆に、これらの項目について問題があり、執筆者が多すぎるような教科書は、授業で使われない可能性があると思われます。それどころかそんなものを教科書として使用すべきではないです。
では、これらの情報は、ネットでみることができるでしょうか。執筆者の人数などは出版社のホームページからたどっていけばわかると思います。
しかし、誤字脱字など、実際に中をみてみないとわからない場合はどうしたら良いでしょうか。授業で指定されている教科書は、大学の図書館に置いてあることがあります。だからまずはそれを確認してみましょう。 図書館になかった場合はどうするか。その教科書の出版社から発行されている別の教科書(できれば近い分野)をみてみましょう。出版社の姿勢がみてとれるでしょう。
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